時間が経つのを忘れてしまう。のめり込んだプログラムづくり。

AP事業部 田中秀房

平成3年4月1日入団※(入社)。AP事業部、シニアマネージャー、開発担当。
工作機械で切削するためのプログラムを20年以上担当してきた。
AP事業部では、航空機機体部品やエンジン部品、各種インペラーの切削加工技術は、国内外で高く評価されている。

※入団:仲間として一緒にやっていく「チームの一員」になるという考えから、入社と言わず、あえて「入団」と呼んでいる。

「俺ならこうする」がプログラマー。

「自分で最初に組んだプログラムで加工された製品を見たときの感動は忘れられない。今思えば、簡単な製品だったが、我ながらやるもんだなぁ…」と。田中は、プログラミング一筋でやってきた。24年が経ち、プログラム技術・切削工具・機械設備の開発チームで技術開発担当マネージャーとして、奮闘している。

工作機械で切削するためのプログラムを組んだのは入団して2年目だった。そこからプログラムの世界にのめり込んでいった。次へ、そして、次へ。やりきると、更に難易度が上がった製品に挑戦する。最初は、先輩が組んだプログラムを見て、マネしていた。「俺ならこうする。これが良さそう…。と考えるのが好きでした。プログラマーは、マネをするのが嫌いな人が多いですね。オリジナリティを出したいんですよ」。要するに、“ここを工夫しているだろ”を主張したいのだ。でき上げる製品は同じかもしれないが、こだわりがある。上手くいくと、格別な想いがこみ上げる。

今でこそ一人に一台の高性能パソコンやソフトが当たり前だが、20数年前では、複数台を皆で使っていた。上級者の先輩が優先して使うのは当たり前。とにかく自分の技術も向上させたい。「人が居ない休日にこっそり会社へ行き、思う存分使い、自分の技術力を上げてきた」と振り返る。今の社会情勢ではそぐわないが、時間を忘れるぐらい没頭した。

独自のプログラム、独自の切削工具、皆の知恵で造り出す品質。

どのように工具を動かして材料を切削するか考えてプログラムするが、そのプログラム自体を確認する作業が必要だ。確認作業を怠ると不良の製品を作ってしまう。不良は、自分のプログラム工数だけの問題でなく、製造の工数、営業がお客様に謝罪・日程調整をしなくてはならない。「自分のプログラムが原因でオシャカ(不良)にしたときは、申し訳ないという気持ちでいっぱいです。プログラムを確認したが、なんで見落としたか…と、悔いが残ることがありましたね」。そんな思いを仲間にさせたくない。確認作業の自動化ソフト開発にも取組んできた。しかし、こうも思うと。「何から何まで自動化にすると、トラブルの時に、手動対応できない人間が増えてしまいます。お手上げ状態にならないように、自動化ソフト制作と同時に、対応力があるプログラマーを育てないといけません」。

現在は、同じ工作機械を揃えれば、どこの会社でも同じような製品が作れる。では、どこに競争力があるのか? 何が違うか? 「独自のプログラム、独自の切削工具を駆使し、皆が知恵を出して造り出す品質です」と田中はハッキリ言う。