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G-Navi NC機械加工シミュレーション
- まえがき
- 近年、NC工作機械の発展は目覚しく、5軸マシニングセンターや複合加工機など高機能で複雑な機構をもつ NC工作機械が増えている。これらの背景には大量生産から多品種少量生産へと時代の変化に対応するため、および生き残りをかけ日本の各工作機械メーカーが高付加価値のNC工作機械の研究・開発に凌ぎを削ってきた結果といえる。 その中でもミリング機能を組み合わせた複合加工機に関しては、工作機械メーカーにより様々な製品が開発され、昨年開催されたIMTS(米国国際製造業技術展)やJIMTOF(日本国際工作機械見本市)において、各社が互いに差別化を図るための機能を付加した新製品が注目されていた。 現時点において、これら複合加工機の進化に対し、ソフト面では課題が残されている。その一つとして、複合加工機のNCプログラム作成における干渉チェックなどNC機械加工シミュレーションがある。本稿ではそれを解決するために開発されたソフトウェアであるG-Navi(ジーナビ)について解説する。
複合加工機の特長
まず最近の複合加工機の機構や制御方法の特長ついて説明する。
- 旋削加工 とフライスの複合旋削加工
- 従来は1種類の部品加工において旋盤とマシニングセンターを使い加工をしていた。だが複合旋盤を用いることにより 1回の段取りで加工を完了することができる。つまり、工程集約による加工時間の短縮と、段取り変更による加工誤差がなくなり、加工精度の向上となる。
- B軸付き多制御加工
- B軸制御ができる刃物台(フライス工具対応)を利用することで、多軸制御マシニングセンターとして利用可能となり、航空機部品やエンジン部品などの複雑形状加工の合理化に有効である。
- 複数刃物台、複数主軸による同時加工
- 上下タレット、サブスピンドル付きの複合加工機は新しくはないが、これらの組み合わせが一層多彩となっている。複数刃物台を同期制御することでバランスカット(上下刃物台の同期加工)や加工時間の短縮が可能となる。
- CNC機能の拡張
- 複合加工機の多様な機能を制御するためCNCも機能拡張され、高精度加工への対応、NCプログラミング機能の充実および干渉チェック機能など、様々な機能拡張が図られている。これらの機能を使いこなすことで複合加工機による生産性を向上できる。
複合加工機を活用するための課題
これら良いことづくめの複合加工機ではあるが、現状は機能をフルに使いこなせていないユーザーも多い。その要因として以下の2点が上げられる。
- 加工プログラム作成が困難
- 前述したように複合加工機は機構も複雑、かつ旋削加工とフライス加工の組み合わせとなることから、加工プログラムの作成は難しくなっている。 これらを解決するために工作機械メーカーが各種NCプログラム支援ソフトやCAMソフトを提供しているが、通常それらはメーカー専用ソフトとなり、異なるメーカーの機械用には使えない。 このため、ユーザーは加工プログラムを手計算で作成したり、または市販のCAMソフトを使用することになる。過去のCAMソフトは旋盤用とフライス用とにモジュールが分かれていたが、最近ではCAMメーカーが複合旋盤用CAMの機能強化を図り、優れた機能をもつソフトが販売され始めている。弊社が販売しているESPRIT (開発元DPテクノロジー社)は、3次元ソリッドの次世代CAMシステムであり、複合旋盤用のみならず、 4軸及び5軸MC加工用、さらにはナレッジベース(知識ベース)といった豊富な機能と柔軟な拡張性を有したCAMであり、早くから複合旋盤用の機能を充実させた製品の一つである。 。
- 干渉チェック
- 構造が複雑な複合加工機のため刃物台、工具、ワークなどの干渉による衝突事故が多い。ユーザーの多くは、 NCプログラムのチェックを現場のオペレータにまかせている。NCプログラムのチェックシステムとしては、 CAMソフトに付属するシミュレーション機能がある。しかし、この機能での複合加工機のチェックは不完全である。その要因として、ア)CLデータによるチェックでは実際の機械の動きとは異なり、例えば、早送りでは非直線動作となる。また固定サイクルやユーザーマクロといった組込みプログラムのシミュレーションはできない。さらに、イ)刃物台や主軸のような機械構造との干渉チェックはできない、といった問題がある。
NC機械加工シミュレーションに求められること
近年のCAD/CAMの3次元ソリッドシステム化といった背景もあり、パソコンベースのNC機械加工シミュレーションソフトが注目されてきた。
NC機械加工シミュレーションソフトに求められる主要な機能は次ぎのようなものである。
- 工作機械全体の機構シミュレーション
- すでに述べたように複合加工機の機構は大変複雑である。この複雑な機構を有する工作機械全体を表示し切削加工と同時にシミュレーションできることが必要となる。
- NCデータによる正確なシミュレーション
- 実際のNC工作機械に忠実なシミュレーションには、実際の加工に使用するNCプログラム(Gコード)を入力としたシミュレーションができることが必要である。
- 3次元グラフィック表示に対応した視認性
- 複雑な加工であることから、これらのシミュレーションの様子を確認するには、3次元ソリッドベースでダイナミックな操作性が求められる。
次ぎにこれらの問題を解決するために開発されたNC機械加工シミュレーションG-Navi(ジーナビ)の機能と特徴を説明する。
G-Naviの紹介
G-Naviは、当社(アイコクアルファ株式会社)が、航空機部品等の5軸MCによるNC加工経験をもとにした開発した NC機械加工シミュレーションソフトである。NCデータの検証は、1)部品が意図した形状に削れるか、2)工作機械や冶具が干渉しないかという2つの検証を1つの画面で同時に検証するシステムとして完成した。その後、多くの利用者のニーズを反映し各種の機能アップが図られてきた。
G-Naviの機能概要
- 加工シミュレーション機能
- 工作機械動作シミュレーション
- 切削加工シミュレーション
- 干渉チェック
- 加工時間シミュレーション
- NCデータの解析チェック
- 様々な工作機械対応
- 旋盤、複合旋盤、マシニングセンター
- FANUC、OSP、MELDASなど
- 工作機械モデルのユーザー定義
- バーチャル検査
- 形状測定、断面表示、形状比較
- 高性能エンジン
- 次元ソリッドベースエンジン
- 高速・高精度エンジン
次に、複合加工機を対象にG-Naviの具体的な機能と活用例を説明する。
G-Naviの干渉チェック機能
干渉チェック機能は、機械の衝突を未然に防ぐのが目的ではあるが、ただ単に干渉を検知できるだけでは不十分である。つまりシミュレーションソフトにて干渉が検知されたとしても、それがどこのNCブロックで、何と何が、どのように、どの程度干渉しているのかが判定できなければ、NCプログラムをどのように修正すれば良いかが判らない。
これらを解決するための機能としてG-Naviには、「干渉リプレイ機能」、「ニアミスチェック機能」および「デバッグ機能」がある。本稿では前2つの機能について詳細に説明する。

(図1)
- 干渉リプレイ機能
- 「干渉リプレイ機能」により干渉部分のみを瞬時に何度でも繰り返し再現することが可能となり、エラー箇所の特定および再現の手間を省くことができる。
これまでのシミュレーションソフトでは、シミュレーション時にエラー(干渉など)が発見したとしても、干渉した様子を繰り返し再現するには、一度NCプログラムの最初まで戻る必要があった。つまり、加工時間の長いものや、加工の最後でエラーが発見されたような場合は、大変効率が悪いという問題があった。この「干渉リプレイ機能」では、一度シミュレーションを実行さえすれば、エラーとなった干渉箇所を記憶しており、干渉箇所の一覧リストから選択することで干渉時点の状態を再現する。またその時点からシミュレーションの逆再生も可能となり、繰り返し再現することで干渉の状況を詳しく分析することが可能となった。(図1)

(図2)
- ニアミスチェック機能
- 工具、ホルダー、アタッチメント、治具および機械は、加工誤差や段取り時の誤差を含んでおり、コンピュータ内で定義されたモデルとは厳密に一致はしていない。また、加工時間を短縮するため無駄なエアカットを排除した工具パスを作成する場合が多い。その際には干渉はしないが危険な加工領域が存在することになる。
G-Naviでは素材、工具、シャンク、ホルダー、アタッチメント、治具および機械の各々に近接距離の指定が可能となっており、この「ニアミスチェック機能」を使うことで、干渉はしないが干渉の危険領域を検知ででき、実物とコンピュータモデルの誤差を考慮した、より安全なチェックが可能となる。(図2)
G-Naviの適用事例
現在市場で販売されている複合加工機による加工例について、G-Naviの必要性を説明する。

(図3)
- B軸刃物台を傾斜させた際のホルダー干渉
- B軸刃物台を傾斜させてフライス工具でミリング加工する際、ホルダーがワークと干渉した様子である。このように B軸を傾斜させた場合は加工領域における干渉が多くなる。(図3)

(図4)
- 同時5軸加工における干渉
- B軸付き複合加工機を5軸マシニングセンターとしてインペラーを加工したケースである。このような同時5軸加工の場合は、各軸が逐次変化することから、干渉する危険性は最も高くなる。(図4)

(図5)
- チャック爪の干渉(ミリングと旋盤)
- 旋削加工ではチャックは回転しているが、ミリング加工ではC軸制御され、チャックの爪との干渉はC軸の位置決め角度により異なる。この状況を正確にシミュレーションするにはNCデータを忠実に再現することと、NC工作機械の 3次元モデルを正確に設定することが必要である。(図5)
- ストロークチェック(Y軸)
- 一般的に複合加工機の構造上、Y軸のストロークが不足がちであることからシミュレーションにてストローク不足でないかを事前に確認することは重要なことである。
- 複数刃物台の同期制御(バランス加工)
- 上下刃物台を同期させたバランス加工など複数刃物台に同時加工の干渉チェックは重要である。
- ワーク受け渡し動作確認
- 主スピンドルからサブスピンドルへのワークの受け渡しの例である。(図6、図7、図8)
(図6)
(図7)
(図8)
- まとめ
- この種のソフトは他にもあるが、G-Naviでは市場の中では最新技術であるNCシミュレーション専用の3次元ソリッドエンジンを採用している。
将来、NC加工技術の進化とともにNC機械加工シミュレーションの必要性はさらに高まると予想され、G-Naviは社内外のニーズを受け入れ常に改良を続けている。
また客先特有の専用機能にはカスタマイズ開発することで、お客様の個別ニーズに対しても柔軟に対応できる。
さらにNCシミュレーション技術は工作機械メーカーやCAMベンダー向けとしても最適なコア技術として活用いただけるものと期待している。
G-Naviに関するお問い合わせ、カタログのダウンロードはこちらの専用フォームで受け付けています。
お気軽にお問い合わせください。
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