CATIA V5 NC加工への取り組み 製品情報

CATIA V5  CAM評価機能ベンチマークの取り組み

金型NC 加工のプログラミング – 統合3次元 CAD/CAM/CAEシステム

取り組みの背景

自動車外装樹脂部品の設計·製造を行っているCATIAユーザーにおける「CATIA V5による設計から製造までの一気通貫」を目指す取り組みについてご紹介します。 金型設計では既にCATIA V5を利用されており、金型設計においても今までの図面ベースの業務から3次元化への移行が進んでいます。そこで、最も大きな課題であるCAM(金型NC 加工のプログラミング)機能において、現状のシステムからCATIA V5に完全移行出来るかを、ベンチマークを通して判断することになりました。

金型設計·製造業務の流れ

金型設計・製造業務の大まかな流れは
1.製品形状受領
2.成形可能な形状への修正作業(CATIA V4)
3.金型構造設計(2D CAD)
4.金型形状設計(CATIA V4)
5.加工 となります。
最後の「加工」を除いて、CATIA V5への移行と金型設計の3次元化は完了しており金型設計·製造に必要な機能をマクロ化し作業効率を上げています。
図1は、標準部品の配置と穴形状の作成を一括して行う「穴あけ」マクロです。その他にも Microsoft Officeと連動する「部品表作成」マクロ、「穴あけ加工入力データ作成」マクロなど図面作成の効率化を支援する様々なマクロを作成し、活用されています。

「穴あけ」マクロ

図1 「穴あけ」マクロ

「加工」工程は、金型構造部品を加工する2.5軸加工と。製品形状を含む型部品を加工する3軸加工に大別されます。 2.5軸加工に関しては、今までは図面から寸法を拾い出して加工データを作成するマニュアル的な作業を行っていました。金型設計のCATIA V5化、ソリッド化を行ったこの荷より、加工プロセスのテンプレート化と金型モデルとの連動が実現でき、高効率なプロセスを適用できるようになりました。

加工プロセスによる工程のテンプレート化

図2加工プロセスによる工程のテンプレート化

ベンチマークの目的

金型部品形状のNC加工においてCATIA V5 SMGの機能を次の3つのポイントで評価しました。

1.自動化への対応と使い勝手の良さ
2.高速加工への対応
3.最終仕上がり面の状態

ベンチマーク対象プロセス

1.電極加工
2.治具加工
3.入れ子加工
4.型板加工

製品例

図3製品例

一般機能評価

SMGの良い点として

1.CATIA V5製品モデルをデータ変換なしで取り込める
2.標準部品カタログと加工工具、機械·治具など、加工に必要な情報をCATIA V5上の画面で総合的に確認しながら作業できる
3.モデリングツールが充実している
4.パワーコピーを活用することにより、繰り返し作業を自動化できる
5.製品形状変更に伴う加工パスの自動変更、パブリケーションによる置換操作 などがあげられます。

加工シミュレーションにおいては、リアルタイムでの材料除去シミュレーションが可能であること、同一画面上で削り残しなどの確認と加工パスの修正が可能であることなど、シームレスなシステム環境が評価されました。

粗加工におけるSMG機能評価

新しい加工パス定義の機能が搭載された最新リリースであるR17について、実際に金型加工を行って評価しました。

1.高負荷切削による加工時間短縮と低負荷切削による無人運転のどちらにも対応可能な加工パス(トロコイド、マルチパス、らせんなど)
2.高速加工対応
3.隅部への円弧自動挿入機能
4.工具ダメージを考慮して、ランピングを極力使用せずに外部からの挿入を優先するアプローチ などが評価されました。

また、加工パスの演算速度が早いというベンチマーク結果も出ています。

リワーク加工におけるSMG機能評価

領域指定に関しては柔軟な定義ができ、加工の効率を大幅に上げることができます。 また、現有のCAMシステムに比べて加工パスの精度が高く、実際の加工において加工面の品質も高いことが確認されました。

リワーク加工

図4リワーク加工

仕上げ加工におけるSMG機能評価

面沿いのパス間制御、パス間隔を単純長さ/スカラップハイト高さでの制御、パス間隔の自動可変、 2ガイドによる制御、といった豊富なパス定義機能が提供されており、ユーザーが求める仕上げ機械加工を実現できます。 マクロ機能を活用することで、細かな加工パスを定義するのに必要な基準図形要素作成に費やす膨大なモデリング工数を削減できます。 以前は、端部制御のダミー形状作成が必要であった箇所が、接触点制御・接線方向マクロにより不要となり、基準図形要素の自動認識の為に必須だったレイヤー分けと色属性作成の作業が、パブリケーションにより簡素化できます。 また実際の加工を通して、製品への工具のアプローチとリトラクト(逃げ)時の接触をスムーズにする加工パスの効果も確認できました。

仕上げ面の見栄え

実際の加工を通して、現有CAMシステムとの比較(加工条件を同一にしたベンチマーク)が行われました。 先に述べたように、CATIA V5が加工負荷を考慮したパスの定義が可能であることと、高い精度が求められる加工面での計算精度が高いことにより、実際の加工面においても差が見られました。 図5は加工負荷が高い部位をCATIA V5にて生成された NCデータを用いて切削した例であり、今までに比べてビビリもなく、仕上げ面も格段にきれいになりました。

もう一つ、大きな特徴として挙げられるのが「シフト制御」です。 面沿いで加工する場合、パスの計算制御点がある加工軸に沿って並んでしまうことから、実際に加工すると制御点が筋状になって現れ、仕上げ面がきれいにならないという問題が生じます。 CATIAではその制御点の並びを散らす機能があり、実際に加工してその効果を確認しました。

仕上げ面

図6シフト制御
その結果、鏡面に近い機械加工仕上げ面を得ることができ、機械加工後の手仕上げ工程の工数削減に大きく寄与できることが確認できました。

結論

CATIA V5を利用することにより

1.金型設計から製造まで同じユーザーインターフェースで同―データの活用ができ、またプロセスを整理することで自動化が可能
2.高効率な加工パス定義機能にて高速加工が実現できる
3.品質の高い仕上げ面を確保でき

という3つのメリットが生まれることを確認できました。
さらにCATIA SMGを導入することによる効果として、計算時間や加工時間が、現状CAMと比べ50%ほど早いという結果も 得られ、金型設計・製造におけるCATIA V5の利用で、全体プロセスを通貫でシステム化するメリットが大きいことを、これらのベンチマークによって実証できました。

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